ESXi稼働環境としてAMD Fusionと既存省電力システムを比較
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概要 †
2011年3月における、AMD Fusion(E350)とAthlonII X2 260uにて構築したシステムのESXi稼働環境としての適性の比較。
システム構成 †
以下のシステム構成を比較する。
- AMD Fusion
CPU AMD E350 1.6GHz 2Core(TDP 18W) M/B ASRock E350M1/USB3 (AMD A50M) RAM DDR3 4GB (2GB x2) HDD/SSD None RAID None USB Strage 4GB USB Memory NIC Intel Pro/1000PT Dual Port (PCIe x4)
- AMD AthlonII X2 260u
CPU AMD AthlonII X2 260u 1.8GHz 2Core(TDP 25W) M/B MSI 880GMA45 (AMD 880G) RAM DDR3 16GB (4GB x4) HDD/SSD None RAID AER-1200LP 250GBx2 RAID1 USB Strage 4GB USB Memory NIC Intel Pro/1000PT Dual Port (PCIe x4) Intel Pro/1000MT Dual Port (PCI 32bit)
マザーボード仕様の比較 †
- CPU
AMD FusionはCPUがオンボード実装されていることに対し、880GMA45はSocket AM3が搭載されているため、CPU換装による性能向上が可能である。
880GMA45は通常のソケットであることから汎用の冷却ファンが使用可能ですが1Uなどのスペースに収められる製品が少なく、かつファンレス駆動は期待できない。
これに対し、AMD FusionはCPUの換装が不可能な代わりに、背の低い冷却ファンが搭載されており、限られたスペースに押し込む場合には有利な点となる。また、ファンレス仕様を選択することもできるため、環境負荷の少ないシステムを構築し易い。
- メモリ
現時点でDDR3が標準となっており、最大容量は16GBが主流である。
880GMA45はこの仕様に準拠しており、かつメモリソケットが4本装備されていることから、入手性の良い4GBメモリモジュールを使用して最大容量までメモリを搭載することができる。
AMD Fusionは製品により最大容量が異なり、4GB、8GB、16GBの製品がリリースされている。また、現在販売されている製品は省スペースでの使用を前提としたものが多く、メモリソケットは2本までしか装備していない。このため、仮に16GBまでサポートしていたとしても、通常は入手できない8GBのメモリモジュールが必要となるため、実質的には8GBが搭載可能な最大容量となる。
- バス
ESXiがサポートするNICとストレージのHBAを使用するため、拡張バスは非常に重要なポイントとなる。ストレージをネットワーク越しに使用することでHBAを使用しないという回避方法があるが、NICは必須の内蔵デバイスとなる。このため、PCIe x1もしくは32bit PCIバスのいずれかが最低1本は搭載している必要がある。
880GMA45はMicroATXのマザーボードであるため、PCIe x16、x1、32bitPCIと全て備えており、拡張性については申し分ない構成といえる。
対してAMD Fusion系のマザーボードは省スペースPC向け製品であることから、mini PCIeを搭載している製品と、PCIe x4(ソケット形状はPCIe x16)が搭載されている製品に二分される。
- SATAコントローラ
AMD750以降の製品ではSB700/800系列のサウスブリッジを組み合わせて使用されるため、オンボードのSATAコントローラはESXiにて使用することができる。
これは880GMA45、Fusion系マザーボード共に共通する点であるため、差異は無い。
- オンボードNIC
AMD系のチップセットにはGbEは含まれていないため、880GMA45、Fusion系マザーボード共にNICは別チップにて提供されている。
どのチップが使用されるかはマザーボードメーカー次第となるが、多くは安価なReltekの8111系列(C、DL、E等)の製品が使用されている。
8111系列用のESXi向けドライバは非公式で存在しているが、これはNICの認識とリンクアップが可能であるという程度のもので、安定性には非常に問題がある。
このため、原則としてオンボードNICは使用できないものとして扱うこととなる。
- 総論
比較結果の総論として、違いが出てくる箇所はメモリソケット数と最大容量、拡張バスの有無と搭載数の点となる。
メモリの最大容量は仮想マシンの同時稼動数に直結する問題となるため、制限の厳しいFusion系が不利となる。
拡張バスはどちらの系統でも最低限は提供されるため、システム構成次第では問題とならない。しかし、製品選択の段階では搭載している拡張バスに適合するNICを準備する必要があるため、この点の不整合には注意が必要となる。
性能 †
前述のハードウェア上の制約を許容できる場合、性能の差異が重要な評価ポイントとなるため、ベンチマークテストを行いE350とAthlonII X2 260uの性能を比較する。
ベンチマークテストのプログラムはHDBench v3.30を使用する。
- CPU性能
システム 整数 浮動小数点 AthlonII X2 260u 1.8GHz 2core 138888 246478 AMD Fusion(E350) 1.6GHz 2core 128954 235158
AthlonII X2 260uはE350よりも動作クロックが200MHz高いため、これに見合う性能差であると考えることができる。
これは、AMD Fusionがクロックを上げて来れば逆転できることを示しており、TDPの値から見ても長期的にはAMD Fusion側が有利であると思われる。
尚、AMD Fusionに内蔵されているRADEON系コアの性能については測定する術が無いため、今回はパスした。
- メモリ性能
システム リード ライト ランダム AthlonII X2 260u DDR3 1333 4GB 199782 204697 376831 AMD Fusion(E350) DDR3 1066 4GB 141260 137419 225893
同じメモリモジュールを使用して試験を行ったが、AMD Fusionがサポートするメモリの規格はDDR3 800/1066であるため、表記上はこちらに従っている。
結果としては、かなりの差が出ていることが見て取れる。
Fusion側が不利な理由としては、上記のメモリの規格に由来する問題、メモリコントローラが統合されているCPUの動作クロックの差異、そしてシングルチャネル動作である点が考えられる。
これだけ不利な要素が集まればこの程度の差は出てくるのかもしれないが、現在は他の構成で比較できる環境が手元に無いため、結果の掲示のみで考察は避けようと思う。
Last-modified: 2011-03-07 (月) 12:07:54 (4793d)